支部長コラム其の13「株式投資で大事な大事な”普及”をいかに行うべきか論」
本の投資家のみなさんこんにちは。坂本タクマです。
今回のコラムでは、全シ連第60話でも扱った「普及」をテーマにしたいと思います。
すぐその場で儲かる、というようなお話しではありませんが、長く株を続けたいとお思いならば、ぜひとも心の片隅にでも置いておいていただきたく存じます。
株式投資、普及活動が必要なその理由
ひとつの厳然たる事実──日本の人口が減っています。これからも減り続けていくでしょう。
学校の部活がかなり寂しい状況になっているようです。
「○○中学の○○部が廃部になった」というような話が飛び交います。
人数がそろわず他校と合同チームで大会に出る、みたいな話もよく聞きます。
バスケットボールの5人すらそろわないなどと聞くと、普段の練習風景を想像して涙が出そうになります。
子供の数は、私が生まれた頃に比べて約4割減になっています。一番多かった頃に比べて半減したといっていいでしょう。
部活にしろ仕事にしろ、あちらこちらで人が足りなくなってきています。
こんな中で、個人投資家だけが増え続ける未来など、想像できるでしょうか?
今年(2019年)に入ってすぐくらいから、「個人投資家が減っている」という話をしばしば見聞きするようになりました。
それは証券会社の業績にも表れていて、今年前半はさんざんだったところが多いようです。
もちろん、この原因は相場の落ち込みで取引が不活発になったことにあります。
相場の先行きが明るくなれば、また戻ってくるとは思います。
しかし、下地として人口減が進行中ですから、新規参入する人は自然と減っていくと見るのが道理でしょう。
昔やっていた人が戻ってくるだけでは、長期上昇トレンドなど期待薄です。
投資家が減ることにより、市場の多様性が失われていくことを危惧します。
それは、ひとつには短期売買に偏るなど手法の幅が狭くなることですが、それと同時に銘柄選択の幅が狭まることも起きていくことが危ぶまれます。
常に閑散としているような銘柄が増え、そういう銘柄は流動性リスクからますます敬遠される。その一方で、流動性の高い一部の銘柄に取引が集中する。
日本で現実に起きている都市部への人口集中みたいなことが、株式市場でも起きるんじゃないかと、私は恐れているのです。
「ポツンと一軒家」だらけになって取引市場としての魅力が薄れれば、当然資金調達の場としての魅力も薄れていくでしょう。産業の不活性化につながりかねません。
日本経済の危機です。
そこで、「普及」なのです。
これはもう、「誰か」がやることではなくて、市場参加者一人一人が当事者意識を持っていただきたいと思います。
日本市場の未来、さらには日本の未来は、我々にかかっているのです。
普及の武器、3点セット
それでは、どうやって普及したらいいのでしょう。
これはとても難しい問題です。注意深くやる必要があります。
株に興味がない人に振り向いてもらうのは、容易ではありません
他のジャンルを参考にしてみましょう。
ある文化やスポーツなどが普及するとき、どんなことが起きているか考えてみましょう。それまでそのジャンルに興味がなかった人達が振り向くとき、何がきっかけになるのでしょう。。
いくつか例を挙げれば、
・スーパースターの登場
・漫画やアニメで取り上げられ、ヒットする
・「健康増進」「頭がよくなる」などの効果があると喧伝される
といったところです。
なんといっても即効性があるのは、スーパースターです。
藤井聡太という一人の少年の登場で、低下傾向だった将棋人口が一気に増えたそうです。
八村塁選手がNBAで活躍すれば、バスケ部の部員不足も解消されるかも知れません。
漫画・アニメも、競技人口の増加に大きく寄与することがあります。
『ヒカルの碁』を見て囲碁を始めた、という人はたくさんいるようです。中にはプロになった人もいます。
それらに比べればやや地味な印象はありますが、何らかの副次効果がある、というのも普及への寄与度は小さくないでしょう。なんといっても、スーパースターじゃなくても宣伝できます。
将棋をやれば頭がよくなるとか礼儀作法が身につくなどと言われます。藤井七段を見てそう感じた親も多かったかと思います。
人がスポーツを始めるとき、多くの場合健康増進が目的でしょうが、副次効果として「スポーツは脳を活性化させる」というのもよく聞きます。
数年前からボードゲームがブームで、その勢いは拡大中である模様です。
芸能人が「今こんなので遊んでます」とネットで発信したり、『ガキの使い』などのテレビ番組で取り上げられたり、『放課後さいころ倶楽部』という漫画がヒットしたりと、人を振り向かせる要因がたくさんあります。
うちでもよく子供と遊ぶのですが、始めたきっかけは新聞の特集記事で「ボードゲームは思考力やコミュニケーション能力を高める」というのを読んだからです。
有名人、漫画、副次効果と、そろっているのです。
株式投資の普及、どうやる?
株に話を戻します。
株には、今挙げたような、普及の武器となるものがあるでしょうか。
スーパースターは、います。
メディアに積極的にお出になっているテスタさんは、間違いなくスーパースターです。株普及への貢献度は抜群です。
しかし彼のような存在は例外かも知れません。ネット上では有名でも、テレビ等で顔をさらすことはしない、というスーパートレーダーもいらっしゃるようです。
ネットで情報発信されているならそれだけでもう十分ありがたいのですが、ものすごい腕を持っていて結果を出し続けているのに、ネットも含め一切なんのメディアにも出ず、まったく誰にも知られていない人が結構な数いる可能性があります。もちろん実態は不明ですが。
ここら辺は、一流になれば必然的にテレビに映るメジャースポーツの世界などとは違うところです。
誰にも知られず金持ちになれる可能性があるというのは、人によってはありがたいことでしょうから、ある意味アピールポイントとして使えるかも知れません。
株の漫画をヒットさせて普及を図ろう、というのは、不肖この坂本が長年目標としてやってきたことですが、未だ道半ばです。これに関しては、一生をかけて精進していく所存です。
株をやることによる副次効果なら、数え切れないくらいあります。
投資家として成長することにより、
・判断力や決断力がつく
・リスク管理能力が得られる
・物事を深く調べるようになる
・自分の行動に対して、責任感を持つようになる
・常に冷静でいられる
・計画性が身につく
・自分と意見の違う人を尊重する
などといった効果が期待できます。
つまり、人間として成長するのです。
国を背負うような重大な仕事をする人なら、一度は真剣に株式投資に取り組んでみるべきだ、とさえ思います。
それなのに、株は配偶者名義だから、とか言って公開しない人が・・・
プロモーションの材料は、一応、あります。
それでもやはり、普及活動にはやりにくさを感じざるを得ません。
それは、株にはリスクがあるからです。
それを柔らかい綿みたいなもので上手に包んで良いところだけ強調しても、世間にある「株は怖いものだ」というイメージは容易に振り払えません。
そこで我々のするべきは、集団で街に出て笑顔を振りまきながらティッシュ配りをすることではなく、「やり方によってはそれほど怖くはないんだよ」ということをちゃんと伝えることです。
「株の良さを、リスクを減ずる方法とセットで広める」
のです。
本来ならこのセットに「勝ち方」も加えたいところですが、「そんなのがわかったら苦労はねーよ」という声も聞こえてきそうですので、オプションということにしておきます。
リスクを減ずる方法といっても、資金量に余裕を持たせるとか、ひとつの銘柄に資金を集中させすぎないとか、初歩的なことで手始めとしては十分でしょう。
同時に、株取引をする限りはどうやってもリスクはゼロにならない、ということも知らせなければなりません。
あとは、リスクとリターンを天秤にかけてやるやらないの判断をご本人にしていただくという手はずです。
株にまったく興味がない人の両頬をつかんで顔をグリンとこっちに向けさせるようなマネは、慎むべきです。
まずは周りに「株に興味があるけど躊躇している」みたいな人がいないか探してみるところから始めてはいかがでしょうか。
なんだかまどろっこしいですが、スーパースター以外の人は、地道にやっていくしかありません。
ゆっくりとでいいのです。
もし、すべての個人投資家がこうした普及活動に取り組んで、1人が1人連れてくることができれば、投資家の数は倍になるのです。
そしてその連れてきた人達がまた1人ずつ連れてきて、そのまた連れてきた人が連れてきて・・・とやっていけば、やがて国民全員が株式投資家になるのも夢ではありません。
怪しい話をしているのではありません。
「今回のコラム、全体的に胡散臭い」と投資家であるあなたが感じているのであれば、その心こそが株式投資の普及を妨げているものです。
私は声を大にして言いたい。
「人に勧められないようなものが、自分に続けられるのか!!」
と!!!
普及、頑張りましょう!!!!